ELFIN 電界解析/電場解析

送電線 2個のドーナツ型電極 3個の球型電極電場解析/電界解析

空間メッシュ不要 (空間電場は高精度)

有限要素法はポテンシャルを変数としています。
したがって電極や誘電体などの物体だけでなく、
解析対象の空間全域に要素が必要です。

一方、ELFINは電荷などのソースを変数としています。
したがってソースが存在している物体のみの要素で解析できます。
空間にはソースがないので要素は不要です。

メートルスケールの部品とマイクロメートルスケールの部品が混在するような解析モデルでも空間要素が不要なため、容易に解析できます。

境界条件不要

ELFINでは解析領域は無限遠までを含んでいます。
したがって境界条件を指定する必要がありません。

解析式による電位・電場の計算

ELFINでは要素の積分は複数の点での数値積分ではなく、
要素表面の解析式を使っています。
したがって面の近くまで精度の高い計算ができます。

空間電場が高精度

有限要素法では空間電場の計算は、空間メッシュの電位から計算するので精度が落ちますが、ELFINでは電場をソースから直接計算するので精度が落ちません。

ソースが作る電場の計算は解析積分式を用いています。
したがって電場は要素近傍まで高精度です。

高精度の空間電場を使って高精度の力、トルク、荷電粒子軌道解析などができます。
スパッタリング、ブラウン管の解析などが精度良く解析できます。

粗い要素分割でも高精度

電場は物体の外部で急激に小さくなっていきます。
そのためポテンシャルは物体の外部で複雑な変化をします。

有限要素法で使用するポテンシャルは、物体外部で大きく変化します。
したがって空間部は物体内部よりも細かな要素分割が必要です。
さらに、3次元の電場は3方向に広がるので2次元の電場よりも急激に変化しますから、
3次元解析は2次元解析よりも細かな要素分割が必要です。

一方、ELFINで使用するソースは、物体の内部や表面にのみ存在し、
物体の外部には存在しません。
たとえポテンシャルが複雑に変化する場所であっても、そこにソースが存在しなければ
要素そのものが不要です。

また、要素を必要とする物体内や表面でのソースの変化は緩やかです。
したがってELFINでは一般に有限要素法ほど細かな要素分割を必要としません。

3次元計算が高速

有限要素法は2次元計算は高速ですが、3次元計算は時間がかかります。
その理由は
・空間部も含めて要素数が奥行き方向に増えます。
・マトリックスのバンド幅が増えます。
・2次元解析より細かい要素分割が必要です。

・ELFINでは電位を与える金属は表面だけの要素分割で解析できます。


解析の種類

静電場解析

時間的に変化をしない電場を解析します。
誘電体の飽和が扱えます。

定常電流解析

時間的に変化をしない電流の流れを解析します。
導電率を誘電率に置き換えます。


モデルの種類

3次元モデル

3次元形状の物体の電場解析をします。
3次元形状のソースが作る電位、電場の解析積分式を使って計算します。
ELFINの基本的な解析です。

2次元モデル

Z方向に無限に長い形状の物体の電場解析をします。
XY平面に物体の断面を定義することにより、
Z方向に無限に長いソースが作る電位、電場の解析積分式を使って計算します。

軸対称モデル

円柱、円筒などのような軸対称形状の物体の電場解析をします。
XZ平面に物体の断面を定義することにより、
軸対称形状のソースを配置して解析します。


要素の種類

導体要素

静電場の解析です。
導体の電荷は導体表面に集まります。
導体表面を面電荷がある平面要素で分割します。

誘電体要素

表面に面電荷がある立体要素で表します。
そのため、要素内で分極が一定の要素では表せない複雑な分極分布が表現できます。

誘電体用ポリ(多面体)要素

誘電体の曲面を細かく表現できる要素です。
誘電体の一部が曲面の場合、その部分にポリ要素を使い、他の部分は六面体要素などで分割すると要素数を極端に増やさずに精度のよい解析ができます。
中空ではなく中実の球体をモデリングする場合に便利です。


計算条件

導体の電位

導体の電位を与えます。

導体の未知電位

電位が不明な絶縁された導体の材質番号を指定します。
導体の電位が計算されます。

誘電体の誘電率

DE曲線を入力することにより誘電体の飽和が扱えます。
折れ線か、式のパラメータで入力します。

対称条件

モデルの対称性と電極の対称性を指定します。
対称条件、反対称条件、周期境界条件があります。
要素数を減らせます。


出力結果

導体の電荷分布・総電荷量

導体の面電荷密度と総電荷量が計算されます。

誘電体の電束密度

各要素の電束密度の平均値がベクトル値として得られます。

空間の電位と電場

座標を入力した空間点の電位と電場が計算されます。
高精度のソースから直接計算するので高精度です。

物体に作用する力とトルク

空間電場からマクスウェル応力を使って計算します。
高精度の空間電場から計算するので高精度です。


高速化

実行モジュールのベクトル化と並列化

近年のCPUはクロック周波数の向上による高速化が困難になってきたため、
コア数を増やして性能を向上させています。

ELFシリーズの実行モジュールは、ほぼ全ての部分で
ベクトル化と並列化を実現しているため、
近年のCPUと非常に相性が良く、年々計算速度が向上しています。

マルチコアによる高速化

ELFシリーズは高度に並列化してあります。
そのため、マルチコアで計算すると、ほぼ全ての部分で高速化されます。

使用パソコンの CPU Xeon 16コア

並列化数168421
マトリックス組み立て時間(速度比)4.03.32.51.61.0
マトリックスソルバー時間(速度比)10.06.53.61.91.0
空間電場計算時間(速度比)11.06.53.61.91.0


実行モジュールのバージョンによる速度差

同じパソコンでも新しいバージョンの実行モジュールほど速く計算できます。
これは、バージョンごとにその時点での最新CPUの性能をフルに引き出せるよう
チューンしてあるためです。
14000元(1.5GB)の密行列マトリックスを解く場合の例です。

使用パソコンの CPU Xeon E5-2630v3 8コア(単位 秒)

ELFシリーズ番号4.23.83.63.33.1
 リリース時期2014年2012年2009年2007年2006年
  並列化数 8
  並列化数 4122036
  並列化数 221386565185
  並列化数 14271127135356

常に最新バージョンを使用することで、最高のパフォーマンスが得られます。

ELFシリーズ4.80を使用した場合の例
CPU 10980XE 18コアのPCで解いた時間です。
15000元(1.7GB)の密行列マトリックス 4秒
30000元(6.7GB)の密行列マトリックス 25秒
60000元(26.8GB)の密行列マトリックス 173秒


応用分野

電子銃電子顕微鏡加速器
コピー機絶縁体スパッタリング
コンデンサ電力、送電システムガイシ

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